心のお薬になる本(31)『二宮金次郎の幸福論』中桐万里子/著
この(31)「心のお薬になる本」のブログは、カウンセリング歴30余年の大阪の「5時間で1回きり」の「潜在意識の本質と使命とトラウマ」を探る心理カウンセラー&本質セラピスト三宅麗子の投稿頁です。
★心のお薬になる本(31)
◆『二宮金次郎の幸福論-運命を高める55の金言』中桐万里子/著
著者中桐万里子氏は、正真正銘の二宮金次郎(尊徳)の7代目子孫であり、また関西学園大学講師であり、子育て支援グループ「リレイト」代表でもあります。
日本人の心や精神を高める本の殆どは、宗教家の本と思いきや、戦後、私がまだ小学生の頃、二宮金次郎(尊徳)の話をよく聞かされたものでした。
その小さい時の印象では、よくある柴を抱えながら本を読んでいる、まだ少年の面影を残した二宮金次郎の銅像で、貧困に耐えるという倹約を美徳とする道徳が中心で、殆どその人となりは記憶にはありませんでした。
今回、ご紹介する本は、その二宮尊徳の七代目子孫という中桐万里子氏の目から見た二宮尊徳の言葉をご自分なりのエッセイにまとめられた貴重な本です。
なぜなら、著者は、ご自分の先祖である二宮尊徳の言葉を、臨床教育学という専門分野の立場から、庶民の目線に立って、「おじいさんならば、この言葉は本当はこうだったのでは?」という感性で書かれておられますので、とっても、共感を覚えるのですね。
二宮尊徳の多くの関連書籍は、時代が古いせいか、とっても難しいという感じがしますので、この本は、二宮尊徳の本を読む最初のとっかかり(入り口)にすればいいのではないでしょうか?
また、昨今の、日本人の若者の勤労意欲が低下する中、「人間は何のために働くのか?」という問いにもヒントを貰えるでしょう。西洋人と日本人の「働く」という意識には、大きな深い川のような隔たりがあります。働くとは、「嫌なコトをするコト」、ととるのか、反対に、「命を生きるコト」ととるのかによって…。
西洋人の考え方をそのまま、日本人に植え付けた、或いは、日本人の考え方やしきたり以上に価値があると勘違いした結果、今の日本人の荒廃の精神に繋がっています。
日本人は西洋人に成る必要はないのです。いえ、決して成れないのです。なってはいけないのです。それをなろうとしたエリート層の思い違いが、現在では、最後の砦である>精神にまで侵食してしまっています。
この本で取り上げている二宮尊徳は、哲学者でも、教育者でもなく、庶民と共に歩む実践者なのです。だから、その言葉は「金言」となり、戦前から注目されていたのでしょう。
今こそ、彼の思想がもう一度、日本人のふやけた意識にカツを入れてくれるでしょう。そういう意味でも、心の悩みを抱えている方々に、お役に立てる心のお薬になる本だと思います。
また、この本の良いところは、二宮尊徳の言葉を「もしも自分なら、どう感じるか? どう考えるか?」を知らず知らずのうちに、自分の心に問いかけてくれるきっかけになれる本といえますので、この著者はそれをねらって書かれているのであれば、さすが、二宮尊徳の子孫! と唸ってしまいます。
著者のやさしいやさしいお気持ちがジワ~ッと浸透してくる極上の逸品です。これを読んで、他の二宮尊徳の関連の本も読もうという人が増えると信じます。
●『二宮金次郎の幸福論-運命を高める55の金言』中桐万里子著
・内容紹介 「相次ぐ飢饉に苦しんだ江戸時代末期、荒廃した農村再建に一身を捧げた農政家・二宮金次郎。幼少期に薪を背に『大学』を一心不乱に読む姿で親しまれてきた金次郎が、生涯をかけて600余の農村復興を果たした功績は、遺された言葉とともにいまも静かに語り継がれている。金次郎の道歌や『二宮翁夜話』『二宮先生語録』に収められたエピソードを軸に一話完結型で綴られる本書には、著者である金次郎七代目子孫だからこそ語ることができる逸話も多く盛り込まれている。(中略)」アマゾンより。