心のお薬になる本(33)『本当のことだから~』山元加津子/著
この(33)「心のお薬になる本」のブログは、カウンセリング歴30余年の大阪の「5時間で1回きり」の「潜在意識の本質と使命とトラウマ」を探る心理カウンセラー&本質セラピスト三宅麗子の投稿頁です。
★心のお薬になる本(33)
◆『本当のことだから―“いつかのいい日のため”の宇宙の秘密』山元加津子/著
著者山元加津子氏は、養護学校の子どもたちから「かっこちゃん」と呼ばれて、親しまれている教育界の理想の先生です。
今回の本は、本もさることながら、著者山元加津子氏の生き方、モノの考え方が、人間としての模範となるべき素晴らしい人だと存じます。
著者山元氏は、大学を出て、小学校の先生から養護学校の先生になられた、経歴からも普通の人の歩む人生とは、ちょっと違う経歴の持ち主です。
この「人とちょっと違う」という経歴に、この方の重みというか、誇りというか、人間としての尊厳を感じて、本当に頭が下がります。誰もができるコトではないトコロが凄いコトで、そこが、人に尊敬と感動を呼ぶのでしょう。
小学校の教師という職につきながら、あえて、わざわざ養護学校の先生になる人は珍しいのではないでしょうか? いくらなりたいと憧れていても、その大変さを考えると、実際になる人は少ないのが現状ではないでしょうか?
理想と現実のギャップに押しつぶされて、殆どの人は、人並な、月並みな人生を選択するものなのですね。こんな素晴らしい方の生き方を真似することは難しく、それが難しいと感じれば感じるほど、本を読むだけで、挫折感に陥ってしまう人も珍しくありません。
こういう本を読んだ後、心ある人は、「自分にしかできないことは何か?」と考えてしまいますが、そうではなくて、まずは、普通の人ができることなら自分にも必ずできると信じて、自分の近くにいる人を見て習う、そして、それを極めていけば、いずれ、「自分にしかできないコト」に行きつくのだと思います。
素晴らしい人を見習うのも良いですが、普通に生きている人を見て習うコトの大切さも感じてください。普通に就職する、普通に働く、その普通にできている人を見習う。それができてから、次に、尊敬する人の歩いた道を、じっくり、一歩一歩、踏みしめていくのも良いのではないでしょうか?
ご紹介の本から感じたコトですが、自閉症の子どもたちから、人間って素晴らしい才能や能力は、誰にでもあるということが、伝わってきます。ひょっとして、私たち普通の人間と思っている人間のほうが、何かを失ってしまった「欠陥人間」かもしれないと思うほど、自閉症の子どもたちは、この本ではイキイキと描かれています。
人間って、この社会で生きていくために、宇宙から授かった能力を忘れてしまうのでしょうか。いえ、宇宙と繋がることを拒否してしまい、その宇宙からの不思議な能力を受け取れなくなってしまうのでしょうか。それが脳の多くを使っていないという証拠なのでしょう。
でも、自閉症の子どもたちには、それがまだ失ったり忘れ去られたりせずに、今も得意な才能として、私たち健常者(定型発達者)には、神秘として映るのでしょう。
でも、身体障害者を取り巻く世界では、私たちのことを健常者とか定型発達者というそうですが、何か、ちょっと、不自然なような気がします。それらの言葉には、やっぱり、彼らと私たちとの間に一線を引くというか、垣根や枠を設けているように感じて、なんか、ちょっと、違和感を感じます。このちょっとが…。
私なんて、平成の世に生まれてきたら、きっと、自閉症児として扱われたことでしょう。小学校を卒業するまで、殆ど会話らしい会話を交わすことができない子どもだったのですから…。辛うじて、普通(健常)の子どもとして生きられたのは、やはり、理解ある親、特に父親がいたからだと思います。両親は共働きで、殆ど家に居なかったのですが、いなくても、父親は特に、私のことを理解してくれているようでした。
貧乏なのにも関わらず、小学生時代、たった二間の部屋に、電気オルガンを買ってくれた父の思いに思いを巡らすと、勉強のできない子ども(私)にせめて、音楽や運動の才能があれば伸ばしたいという切実な思いの表れでしょう。よく裕福な子どもに物で愛情表現する親の「悪」を言われますが、私は反対に、貧乏だからこそ、小さな部屋に高価でどっしりと陣取るその電気オルガンに、父の深い愛情を感じます。また、そんな小さな家には、洋風の大きな食卓があり、その食卓の大きさはさらに二倍になって、部屋で卓球ができるシロモノなのです。隣りの男の子にきょうだい三人がよく卓球を教えて貰ったものです。それが高じ、姉は中学から卓球部員になり、私は、テニスをやりたいと言えば、テニスのラケットを買ってくれる父親でした…。決して、裕福ではないのですよ。そういう愛情を注ぐ父親を私たちきょうだいはとっても尊敬しておりました。
子どもの成長には、よく母親の愛情が「云々」されますが、母親だけでなく、父親も、また大きな役割を果たしているのではないでしょうか? その子を取り巻く全ての環境の理解が、その一番大事な環境が、まず家族ということでしょうか…。
この本は、そういう過去の自分のコトが思いだされ、殆どの人々が上から目線で読むのではなく、ひょっとして、自分にも自閉症的要素があったのだ、と合点がいくのはないでしょうか? 誰もが普通で、誰もが普通でないと言えるのでは? 「普通」という意味の重みが心に沁み込みますが…。
この本に書かれている、MS(多発性硬化症)の雪絵ちゃんには、なんと、感情豊かな研ぎ澄まされた感性の持ち主でしょう。本当にもっともっと長生きしてほしかったと思いますが、死ぬコトも彼女は自分で決めたのでしょう。なんと潔い生き様でしょう。
「生きることは少しづつ死ぬコト」だ、と言われた柳澤桂子という科学者がおられますが、長い間病気を患っておられた故の、真摯な重みのある言葉だと感じます。科学者も、雪絵ちゃんも、同じ人間であり、常に死を見つめて生きた人です。だから、そこ真理がみえるのでしょうね。
また、もう一冊の本は、著者が、イスラエルに旅して感じたコトを綴った本です。この本の中には、六本指の手の人が「神」のような存在だったのではというコトが書かれています。昔から、身体障害者の人々は、きっと神の存在と崇められ、或いは畏れられていたのでしょう。それが段々と、恐れられ、疎んじられてと、今では変化していったのでしょうか。
見えないモノを見る、聞こえないモノを聴くというコトの中から真実が見えてくる、聞こえてくるのでしょう。それがこの本を読めば、鮮やかに感じられてきます。さらに、宇宙とも、人々とも繋がっているコトも感じさせてくれます。
誰が言ったか知りませんが、「人間は万物の霊長」なんて奢ったら、とんでもありません。人間も動物の一種で、生物としては、みんな同じ。人間が人間を支えるというのは、ちょっと違うような気がします。おこがましいというか…。
健常者でも障害者でも、全ての人間のこの世での役割は、「自然」を守るコト、それが地球の意識を高めるコトに繋がります。自然を守るとは、ありとあらゆる生き物を守るコト、動物も生物も鉱物も、自然の海山川陸の全ても…。そして、人間が造った人工物も…。全ての存在するモノを守る役目が人間の使命では…。だから、人間が守れないモノは造ってはいけないのでしょう。たとえば原発なんかは…。でも人間は、今では「悪のモノ」を造り続けて、自然破壊をいるような気がします。発明発見という名のもとに…。行き着く先までいかないと気がつかない人間のエゴというかサガというか…。
そういう意味でも、この本は、人間のマヒした心に一石を投じてくれる素晴らしい一冊でしょう。
●『本当のことだから―“いつかのいい日のため”の宇宙の秘密』山元加津子著
内容(「MARC」データベースより)
幼いころから考えてきた、人が生きていく中での不思議をトコトン考えて、とうとう自分なりの解答を得ました。それは、大きな大きな、大きな力。そこには、愛よりも大きな、宇宙の秘密があったのです…。エッセイ集。
●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山元/加津子
1957年金沢生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。富山大学を卒業後、小学校の先生を経て、養護学校の先生をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) アマゾンより。
●『宇宙の約束―私は、あなただったかも』山元加津子著
出版社からのコメント
私が生まれてきたのはなぜ? 私が私であるのはどうして?
神様はいるの? 神様がいるとすれば、どうして悲しい出来事が起こるの?
養護学校の名物先生“かっこちゃん”がイスラエルの地で考えました。
果たしてそこで出た答えとは?
内容(「BOOK」データベースより)
えっ?“かっこちゃん”がイスラエルで般若心経!?“祈り”と“神様”が気づかせてくれた「本当のこと」。アマゾンより。