心のお薬になる本(54)『お母さんが話してくれた生命の歴史』①~④ 柳澤桂子/著&朝倉まり/絵
この(54)「心のお薬になる本」のブログは、カウンセリング歴30余年の大阪の「5時間で1回きり」の「潜在意識の本質と使命とトラウマ」を探る心理カウンセラー&本質セラピスト三宅麗子の投稿頁です。
★心のお薬になる本(54)
◆『お母さんが話してくれた生命の歴史』①~④ 柳澤桂子/著&朝倉まり/絵
今回、ご紹介したい本は、私にしては珍しいのですが、「絵本」なんです。
是非、心の悩みで苦しまれている方々にお読み頂きたいと存じます。きっと、読み終えた後には、違う自分に出遇えたり、また違う視野も開けているでしょう。
絵本といっても、お子様向けの題材の絵本ではなく、生命科学者の柳澤桂子氏が日本の子どもたちのためにわかりやすく書いた絵本の4冊シリーズで、『お母さんが話してくれた生命の歴史』①~④です。
4冊セットで出版するということが、いかに著者が、この絵本に力を入れているかがわかるのですね。
①『いのちののはじまり』、②『いのちの設計図』、③『進化する生き物たち』、そして④『人間ってなんだろう』ですが、今回、私がなぜ、この絵本を紹介したいかというと、私の著書『あなたは誰?』にも関連していて、悩みのある人が、結局、自分のことを追究していくと、人間そのものに目をむけていくから、に他ならないのですね。
人は自分のことを知りたいと思う前に、人間ってなんなのか? 命ってなんなのか? 自分はどこから生まれ、どこへ行くのか? ということが知りたくなるのですね。
でも、誰もそれを教えてはくれないのです。また、幼稚園でも小学校でも、そういうことには、あまり力を入れて教えているとは言えないのですね。
まるで、大きくなってから役に立つ知識でないと教える価値がないとばかりに、そういう子どもの素朴な疑問は無視するように…。
だから、命の大切さには無知なゆえに、人の命をいとも簡単に傷つけてしまうのは、全ての人間に共通していて、それは、しっかりと「命」というものと向かわない教育環境に問題の一因があるのでしょうか。
そして、それをヒシヒシと感じておられるのが、生命科学者である柳澤桂子氏で、それは著者が難病に苦しんでいることとも、関係があるように感じてなりません。
ご自分の「使命」を強く意識された結果、サイエンスライターとしての道も歩まれ、子どもたちの未来を憂い、子供たちに一条の光を与えるべく、絵本を書かざるをえない心境になられたのではないでしょうか?
この絵本の後ろには、「文と絵でやさしく語る生命の誕生と進化の物語。お母さんが話してくれた生命の歴史。柳澤桂子 著/朝倉まり 絵 地球というこのふしぎな星に生命が生まれ、進化し、わたしたち人間があらわれるまでには、気の遠くなるような長い時間がかかりました。この壮大な自然のドラマを、楽しい会話と絵で、お母さんがやさしくお話します。小学校5年生程度の学力で楽しく読み進められるシリーズです。」とあります。
本の内容は読んで頂くとして、絵(イラスト)は朝倉まり(実の娘)さんとの母娘合作で、産経児童出版文化賞を受賞されています。「受賞パーティーでは、娘さんのイラストだけが評判になって、ご本人の文章への反応はあまりなかった、でも、実際に出回ってみると、小学校の先生が価値を認めてくださった。この本を大人に見せると、むずかしくてわからないという。しかし、子供たちは何の抵抗もなく読み進むという。分子生物学の最先端の話であるにもかからわず、大人の中の既成概念が、こういうものを受けつけなくしているのではなかろうか。」と、別の著書『生命の秘密』で述べらています。
私がこれらの絵本で、感動した部分は、沢山沢山ありますが、その中でも、特に、「36億年の命の歴史をもっているDNA」と、「死ぬ役目の細胞」という箇所で、死ぬ細胞が最初から決まっていて、その細胞がちゃんと死んでくれないと、手の指はできない、いつ、どの細胞が死ぬかということも、DNAの手紙に書きこまれている、そうです。
自分が、死ぬことを覚悟している細胞って、なんて、気高くて尊いんでしょう。
どの部分の細胞が死んで、どこが生き残るかで、手の形が違ってくる。また、細胞の死に方がDNAの手紙に書かれてあるので、動物の種類ごとに決まった手の形ができ上がる、そうです。
人間って、そういう凄い細胞たちが元になって出来上がっている生き物なんですね~。それに対して、人間って、何をしているんでしょうか。それらの犠牲になってくれた細胞に対して、どんな恩返しができるでしょうか?
柳澤桂子氏は、ご自分のことを日本の国公立の大学を出て、アメリカの大学にもお世話になっているので、日本やアメリカの税金を使わせて頂いたのだから、恩返しをしなければいけない、それをするには、いったいどうすればいいかと、悩み抜かれたそうです。そして、今のサイエンスライターに辿り着かれたのですね。病気の身でありながら、いえ、病気の身だからこそ、と言えるでしょう。
植物は「光合成」なので、生き物のいのちを奪わずとも生きられますが、人間は、人間として生まれたからには、誰一人例外はなく、あまねく、他の生き物のいのちを殺して、いのちを食べて、生きなければなりません。それが神様が人間に下した「掟」であり、「宿命」なのでしょう。
だから、人間は、例え、動物を自分の手で殺さなくても、間接的に、みんな、殺していることになるんですね。例え、肉食をしなくても、菜食主義者であっても、植物という生き物の命を奪っていることには変わりはないのです。みんな、すべからく、「同罪」なのです。この世に生まれし人間ならば、誰一人例外はない、のです。
この絵本は、生き物のいのちの尊さを奪っている人間、その人間である私たちがまず、読まなければならない絵本なのではないでしょうか? そして、それを子孫に伝えていかねばならないのではないでしょうか?