心のお薬になる本(30)『人は死なない』矢作直樹/著
この(30)「心のお薬になる本」のブログは、カウンセリング歴30余年の大阪の「5時間で1回きり」の「潜在意識の本質と使命とトラウマ」を探る心理カウンセラー&本質セラピスト三宅麗子の投稿頁です。
★心のお薬になる本(30)
◆『人は死なない―ある臨床医による節理と霊性をめぐる思索』矢作直樹/著
今回ご紹介の著者矢作直樹氏は、東大病院救急部・集中治療部部長の医師ですが、そういう肩書きの人が、人間の生や死に対して、真摯に本を書くというコトが、時代も変わっていくんだなあと感慨深く感じました。
『人は死なない』というセンセーショナルタイトルに比べて、内容的には、さほど珍しいものではありません。
でも、この本の価値は、著者矢作直樹という医師の方が、本来ならば決して書かない、いえ、書けない医療側の立場の人が書いたから凄い勇気あるコトなのだと思います。
著者の肩書は、「東京大学大学院医学系研究科・医学部救急医学分野教授・医学部付属病院救急部・集中治療部部長」という何やら近寄りがたいというか物々しいものです。
もしも、私自身がそういう肩書を持ち先端医療の現場で働いていたら、きっと、こういう本は出したくても出せないだろうと思います。そういう意味で、貴重な勇気ある一冊ではないでしょうか?
また、出版年月が、あの東北の大震災の年の9月に出たと言うことも、著者にとっては、多くの貴い人の命が無くなったコトで、医療の現場で死と向き合ってきた人間の使命として、出さないといけないというか、出そうと決めた強い意志と関係があるのではないでしょうか。
また、著者は小学生の時1回と、大学時の登山2回、死にかけた経験があるとこの本で告白されています。実際に、死に直面されたからこそ、ずっと心の奥で沈澱していた思いが、あの3.11でより具現化して、本という形になったのでしょう。
私自身も、3才の時と、19才の時、また、結婚後も死の意識が離れないという経験もあり、結局、何かの大きな「存在」に守護されている感じが強く、それが今の現在の職業にも影響をしております。
自分の中のもう一人の自分とは違うさらに、大きな何かが自分を導いているという感じ、でしょうか…。それは、常に感じるというものではなく、自分が窮地に陥ったときに、一瞬感じるというような…。だから、人生の内で数回しかありませんが、でも確かにあるのです。
この本では、「近年このような極限における謎の出現の存在が「サード現象」と呼ばれるようになりました」と書かれていますが、日本人は、昔から守護霊や守護神としてイメージしていて、こういう存在を経験する人は時代と共に多くなっているのではないでしょうか。
また、この本のタイトルにある「摂理」とは、「神」や「力」と著者は書いていますが、やはり、さすがに「神」とは書けなかったことに、著者の置かれている立場からするとそれもなるほどとうなずけます。
普通の日本人の感性であれば、この本が別に、特異なものでもないのでしょうが、ただ、東京大学の医療関係という閉鎖的な世界では、「人は死なない」なんて言うコトはタブーに近いのでしょう。
要するに、この本は、「人は死ぬけれども、霊魂は死なない」と言っているので、その霊魂を認めると言うコトが、著者の住む世界では、無視するか、或いはよくぞ、書いたという二つの評価に分かれるのでしょうね。
そして、この本の言わんとするところは、「人間の知識は微々たるものであること、摂理と霊魂は存在するのではないかということ、人間は摂理によって生かされ霊魂は永遠である、そのように考えれば日々の生活思想や社会の捉え方も変わるのではないかということ、それだけです。」『人は死なない』より。
私が、西洋心理学に疑問を持った原点が、この「霊魂」や「魂」の捉え方なのですね。未だに100%解決したとは思っておりません。だから生きる値打ちがあるのだと考えております。
人は、自分が何者であるのかさえも、今やわからなくなっています。
誰もが、自分一人では何も決められず、誰かが唱えたレールの上を、何の疑いも無く、歩くしかスベがないようです。
それの一番顕著な例は、病気や死に対する接し方でしょう。病人は、「病気は医者や薬でしか治せない。病院に入院すれば、医者が治してくれる。」と。本当にそうでしょうか? 医者は病気の原因は突き止めても、再び、病気にならないとは保障できないのです。
科学が進み、ロケットが月や他の星に行ける時代になった今でも、人間は、自分では何もない所からは、草一本、卵一個、生物を造ることはできないのです。その事実を人間は認識しておりません。
というよりも、人間は、誰かが唱えれば、見えない電気やウイルスや原子核もあると信じ、病気が命名されれば、何の疑いも無く、病気がこの世に存在すると信じて疑いません。昔昔には「ガン」という病気はありませんでした。そして、殆どの人は「ガン」になったら、治らないという意識を持ってしまいます。かくて、病人はドンドン増える。精神病が、ドンドン増えるのにも、そういう仕組みなのです。
病気や死という概念は、昔昔の上古代の人々には、なかったのです。アイヌの人ですら、病気という言葉はなかったそうですから…。
日本人は、2000年上も前から、独自の素晴らしい文化を培ってきたのです。たかだた、100年ほどの西洋文化の流入で、日本人の意識が、無くなってしまうはずはないのです。
日本人の脳に刻印された素晴らしい意識は、今現在も、日本人の深層心理にしっかりと存在しているのです。それを教えてくれるために、この『人は死なない』という貴重な本はあるのではないでしょうか?
心の悩みでお苦しみの方々、こういう「心ある」医者の本をどうかお読みください。きっと、心の中に、何かの変化がある筈です。
●『人は死なない』矢作直樹著
・内容紹介 「神は在るか、魂魄は在るか・・・」 現役のER医師である著者が、生と死が行き交う日々の中で、数々の不思議な体験を通して思索した大いなる力と魂魄の永遠 アマゾンより。